Q1 相続が発生しました。どんなところに気をつければよいですか?
Q2 葬儀費用の支出で、どんなところに気をつければよいですか?
Q3 遺産の総額が基礎控除額に満たないので相続税はかからないと思います。申告は不要でしょうか?
Q4 被相続人の名義ではない財産は、どの様に取り扱えばよいでしょうか?
Q5 離れて暮らしていた親が亡くなりました。遺産はどうやって調べればよいでしょうか?
Q6 被相続人が亡くなってから遺産分割協議が決まるまで間に発生する収入は誰に帰属しますか?
Q8 顧問税理士がいます。相続税の申告だけをお願いすることは可能でしょうか?
Q11 生命保険金や死亡退職金は遺産分割協議の対象にならないと聞きましたが本当ですか?
A1 以下の点にご注意ください。
1.相続が発生すると、相続税の申告だけでなく、様々な手続きが必要です。
例えば、相続人の確定、土地等の相続財産の評価、遺産分割協議書の作成、預貯金、有価証券、不動産の名義変更等を行わなければなりません。
2.円滑な相続を行うため、以下の点に気をつけてください。
(1)相続財産の評価
財産評価に占める割合が高いのは土地です。
上手に土地の評価を行うことが相続税を抑えることにつながります。
(2)遺産分割
遺産分割をスムーズに行うためには、相続人同士の話し合いが欠かせません。
十分に話し合わないまま遺産分割協議を性急に進めるとトラブルにつながる可能性が高くなります。
そうならないために、各相続人がどのような考えを持っているかをよく話し合い、それぞれの意向をもとに遺産分割の方向性を決めていくことをお勧めします。
(3)納税資金
相続税をどのように納めるかといった財源の確保が必要となります。
相続税は現金での一括納付が原則ですが、それが困難な場合には、現金と物納を組み合わせることも検討が必要です。
A2 相続財産から差し引くことができる葬式費用については、以下の点に気をつけてください。
一般的に、葬儀や葬送などの費用は葬祭業者に対して支払いますが、それ以外の出費で領収書がいただけないケースがあります。
たとえば、寺院、神社、教会などに支払ったお布施や祭祀料、戒名料、読経料などは、領収書が発行されない場合がほとんどです。また、参列者へのお車代、葬儀をお手伝いいただいた方への心付けなども領収書がいただけません。
このような費用は、忘れないうちに支払日、相手方の氏名(名称)、内訳及び金額をメモしておきましょう。
A3 相続税の課税対象となる財産の総額が基礎控除額の範囲内であれば、申告の必要はないものと思われます。
なお、相続税の課税対象となる財産には、被相続人名義の財産のほか、名義は異なるものの実質的に被相続人の財産と判断されるものや、過去に相続人へ贈与した財産も含まれる場合がありますので注意が必要です。
また、次のような特例を受けることで基礎控除額を下回る場合には、相続税の申告期限内に申告しなければなりません。
1. 小規模宅地等の特例
2. 配偶者の税額軽減
3. 農地等にかかる相続税の納税猶予
など
A4 相続税は被相続人の財産を基礎として計算されるもので、財産の名義にかかわらず実質で判断されます。
そのため、名義が被相続人でないとしても、実質的に被相続人の財産と判断されるものは、必ず申告しなければなりません。
たとえば、被相続人が毎年相当額の定期預金を配偶者や子供の名義で作成しているものの、被相続人が管理していたケースがあるとします。
このような場合、名義は相続人ですが実質は被相続人の財産とみなされます。
なお、実質的な所有者は、以下の点を考慮して判断されます。
1. 預金の出し入れ等の管理は誰がやっていたか?
2. 相続人(名義人)はその預金の存在を知っていたか?
3. 銀行印は相続人のものか?
4. 通帳の保管場所はどこか?
5. 贈与税の申告はしたか?
6. 通帳作成時の申込書は、相続人自身がサインしたか?
参考として、被相続人の財産を相続税の申告から除外した場合、後の税務調査においてその存在が明らかになれば、追加納税はもとより、延滞税、過少申告加算税又は重加算税といった余分な税金が課せられます。
税務署は、申告された財産についての調査・情報収集を緻密に行いますが、相続人名義の金融機関や証券会社の取引口座も、その有無を含めて調査することがあります。つまり、被相続人のみならず家族名義の財産も必ず調査されるといっても過言ではありませんので、実質的な所有者の判断に迷うときは税理士に相談されることをお勧めします。
A5 一概に、こうやって調べればよいという方法はありません。
以下を手がかりに財産を把握して行きましょう。
なお、被相続人と親しくしていた方から生前の様子を聞いたりすることで、手掛かりを得られることもあります。
A6 税遺言書がない場合、相続開始の日から遺産分割協議が成立するまでの被相続人に係る収入は、各相続人に法定相続分で帰属します。
相続が発生すると、様々な手続きや法要を済ませる一方、相続人間で話し合いを重ねながら協議を進めますので、遺産分割協議の成立までには相当な時間を要します。そのため、遺産分割が決まる前に所得税の確定申告期限を迎えるケースも考えられます。
このような場合は、各相続人が法定相続分に従って家賃収入等を按分して申告する必要があります。なお、アパートやマンションの取得に係る借入金利息の支払や固定資産税の支払が生じた場合も、法定相続分により按分して負担する必要があります。
A7 以下のような視点で判断することをお勧めします。
1. 相続税の経験の多い税理士
相続税を専門に扱っている税理士に依頼すると、土地の評価方法を詳細に検討するため評価額が抑えられ、それにより相続税が安くなります。
土地の「相続税評価額」を正しく計算するには、「建築基準法」、「都市計画法」、「借地借家法」、「土地開発指導要綱」等の不動産関連法を理解している必要があります。しかし、税理士が不動産関連法に詳しいかどうかを事前に確認することは困難です。
そのような場合は、相続税の経験の多さやその税理士が外部の専門家とどのようなネットワークを持っているかを確認してみてください。
2. 事前に見積書を作成してくれる税理士
相続税の申告の報酬の相場は、相続財産の0.5~1%程度と言われています。
しかし、相続財産の種類や相続の内容により手間や難易度が異なりますので、想定していた報酬額よりも高額となるケースは少なくありません。
初めて相談する際に、相続財産や相続人の数などの概要をお伝えし、その内容を基に見積書を作成してくれる税理士に依頼することをお勧めします。
3. 相談しやすい税理士依頼する税理士との信頼関係を築くことが大事ですので、こちらの話をよく聞いてくれる相談しやすい税理士がよいでしょう。
なお、親戚筋の税理士には接しやすさや料金面などのメリットもありますが、デメリットもあります。すべての税理士には守秘義務が課されていますが、親戚関係ゆえに相談しづらいことや知られたくないこともありますので、他の相続人とも相談して依頼するかどうかを判断してください。
A8 所得税や法人税は、そのまま現在の税理士にお任せして、相続税の申告のみを当事務所にご依頼いただくことも可能です。
また、顧問税理士の方からお客様をご紹介いただき、顧問税理士と一緒に相続税の業務のみお手伝いさせていただくことも可能です。
A9 土地を評価する場合、以下のような土地が評価減の対象になります。
1.土地の形状・条件による減額
形が悪い、間口が狭い、奥行きが長い、がけ地、傾斜地、利用価値が著しく低いなど
2.小規模宅地の特例による減額
被相続人の居宅の敷地、被相続人の事業用の敷地、賃貸アパートの敷地など
3.利用形態による減額
他人に貸し付けている土地、賃貸アパートの敷地など
それぞれの詳細は、税理士にお尋ねください。
A10 長男(長女)など、祭祀を司る相続人が遺産分割協議で中心的な役割を果たす場合は、他の相続人に遺産分割協議の進め方に関する意見を聞くことから始めましょう。最初に分割案を提示するようなことはせず、誠実な態度で先祖代々の土地や財産を守らせてほしいとお願いする姿勢が大切です。
遺産分割協議の進め方の一例は以下のとおりです。
1. 遺産分割協議で中心的役割を果たす相続人は、葬儀が一段落し、お世話になった方々へのお礼が済みましたら、すべての相続人にお会いしましょう。全員が一堂に会してもいいですが、遺産分割についての強い希望がある方がいらっしゃる場合は、別々にお会いすることをお勧めします。
2. 各相続人にお会いし、遺産分割協議の進め方について意見をお聞きしましょう。
3. この段階で税理士にも相談し、遺産分割の進め方についてアドバイスを受けましょう。
4. すべての相続人に集まってもらい、遺産分割協議に関する原案を提示しましょう。
穏やかな話し合いができそうな場合は、その場で各相続人の意見をお聞きしましょう。もし、話し合いが進まないようなら、専門家に各相続人の意見や希望をヒアリングしてもらいましょう。
A11 生命保険金は、原則として契約時の受取人が受け取ることになるので、遺産分割協議の対象にはなりません。
同様に死亡退職金も遺産分割協議の対象になりません。
たとえば、父(被相続人)の遺産総額が6億円(生命保険金1億円、その他財産5億円)のケースで、生命保険金の受取人を長男にしていた場合、遺産分割協議の対象となるのは5億円で、生命保険金1億円は長男の固有の財産として受け取ることができます。。
A12 将来的な視点で、配偶者が亡くなったときの相続税申告(2次相続)を考慮しましょう。
まず、今回の相続(1次相続)で相続税を抑えるためには配偶者の税額軽減を最大限に受けることが重要ですが、併せて、2次相続の相続税負担も考慮に入れた遺産分割の方針を立てることも必要です。
たとえば、1次相続で配偶者が相続した財産が値上がりした場合、結果として2次相続の相続税負担が増加してしまいます。
つまり、1次相続で配偶者が将来値上がりしそうな財産を相続しなければ、2次相続において相続税の負担を抑えられる可能性が高いということになります。
1. 値上がりの可能性がある財産の例
(1)現在は「調整区域」と指定されているが、近い将来「市街化区域」へ編入される可能性がある土地
(2)近い将来、道路拡幅工事が行われ、接道部分が増える可能性がある土地
(3)近い将来、電車や地下鉄の新駅ができて利便性がよくなる可能性がある土地
(4)「調整農地」で「市街化農地」へ編入される可能性がある土地等
(5)株式・投資信託などの金融商品
2. 将来の値上がりを考慮する必要がない財産の例
建物、現金、預貯金など
A13 相続税の物納は、現金での納税が困難な場合に、相続した財産そのものを国に納める制度ですが、非常に要件が厳しく「最後の手段」といえます。土地を物納したい場合であっても、その相続人の相続財産に現金や預貯金があれば、税務署から「先に現金で納めてください」と言われます。
つまり、極端な例ですが、土地のみを相続した場合は、物納申請が通りやすくなります。
なお、土地が複数ある場合には、物納したい土地を子供たちが相続し、物納したくない土地は配偶者が相続することをお勧めします。なぜなら、配偶者には配偶者の税額軽減という大きなメリットがあり、納税額が生じないか少額であることが大半であるからです。
A14 相続した土地を売却して相続税の納付に充てる予定であっても、延納申請しておくことをお勧めします。
なぜなら、相続税の納付期限までに土地を希望の価格で売却できる保証がないからです。
なお、延納は相続税の申告期限までに申請する必要があり、仮に売却できなかった場合でも、それを理由として申告期限後に申請することはできません。
また、延納中に売却代金が入った場合は、延納している残額を一括納付できますし、希望どおりに売却できなかった場合には、延納を継続することもできます。